5月 022009
 

 

北海道新聞朝刊の連載コラム「朝の食卓」掲載

山菜名人の話を書きました。名人の眼力を養いたいものです。


「名人の眼力」 有明 正之

北海道新聞のコラム「朝の食卓」

 山菜採りの季節になってきた。

 私の住んでいる釧路市阿寒町の山間部には山菜採りの「名人」が大勢いる。

 本州から引っ越して来たばかりのころ、名人の一人に山菜採りに連れて行ってもらったことがある。一緒に山道を歩いていると名人が言う。

 「ほら、あそこにいいワラビがたくさん生えているぞ」。指さした方を見ても、私にはただ草が生い茂っているようにしか見えない。

 近くに寄ってみると、確かに立派なワラビが生えている。同じ景色を見ているはずなのに、名人の目には映り、私には見えないのだ。

 聞くと、雑多な草の中で目指す山菜だけが、「自然に眼に入ってくる」のだと言う。名人の眼力恐るべし、である。

 あれから数年、毎年山菜を探し続けるうちに、私もすこしずつ、目指す山菜が見えるようになってきた。もちろん、まだまだ名人の眼力には及びもつかないが。

 先行きが不安な今の時代、人生の目標が見えないと言う人は多い。けれど、きっとそれは目の前にあるのだ。私たちの眼に映っていないだけだ。

 探し続けていれば、必ず見えてくる。いつの間にか私にも山菜が見つけられるようになったように、人生の眼力というものがあるはずだ。そう信じている。

(パイオニアラボ代表)・釧路


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