ご近所スノーハイク:巨木目指し冒険気分

植物, アウトドア, 自然, 執筆・メディア掲載

北海道新聞にコラム「アウトドアで行こう」掲載

ご近所スノーハイク:巨木目指し冒険気分

北海道新聞釧路版のコラム「アウトドアで行こう」の連載2回目。

森の中で発見した巨木を目指してスノーシューハイキングした話です。

ご近所スノーハイク:巨木目指し冒険気分

移住してきた頃は、暇があると近所の山に分け入ってはあちこちを散策した。低山と
はいえ見知らぬ土地、ちょっとした冒険気分が楽しめた。
ある冬、いつものように森の中を探検していた時に巨大なミズナラの木を発見した。
周囲は大人4人が手をつないでも届くかどうかという太さ、堂々たる巨木だ。周りは樹齢
の若いトドマツの植林地で、そのミズナラだけがまるで森の古老のように孤高を保ってい
た。
近所の家に遊びに行った時にその話をしたら、若い頃に山仕事をしていたご主人はこ
の木の事を知っていた。当時この巨木にはしめ縄が巻かれてあったそうだ。昔から森の守
り神的な存在だったので今まで伐採を免れて来たのだろう。
話を横で聞いていた奥さんが、一度見てみたいと言った。長年この地に暮らしても山
の中を歩いた経験は無いと言う。
それならみんなで一緒に見に行きましょう、と半ば強引に巨木見学スノーシューハイ
キングに誘ってみた。
当日集まったのは、近所のおばちゃん達三人と私たち夫婦の計5人。歩き始めは初体
験のスノーシュー(彼女たちはカンジキと呼んでいた)に少しとまどっていたが、しばら
くすると歩き方にも慣れ、意外にしっかりとした足取りでスノーハイクを楽しんでいる。
そのうちに歩きながらのおしゃべりに花が咲き、冗談が飛び交った。
巨木を見て歓声をあげ、雪の上でお弁当を食べただけの半日ほどのハイキングだった
が、彼女たちはまるで女子高生の集団のように終始はしゃいでいた。
かれこれ十年近く前の話である。今でもおばちゃん達の家に遊びに行くと、あのとき
は楽しかったねぇ、と話が弾む。
雪の少なかった今年はもうスノーシューで歩ける所は無いが、来冬はまたみんなで森
の中を歩いてみたい。
中を歩いてみたいものだ。

キャプション
上 近所のおばちゃんたちといざ、「ご近所スノーハイク」
下 かつて、しめ縄が巻かれていたというミズナラの巨木